薬局方・医薬品集

薬局方

薬局方とは 日本薬局方 USP/NF European Pharmacopoeia

薬局方とは

薬局方とは、国や地域で流通している医薬品の品質規格の基準を示した規格書です。医薬品(生薬を含む)の試験法や判定、純度の基準や剤型は原則として全て薬局方に準拠しています。

薬局方の記載事項(全26項目)

  1. 名称
  2. 構造式
  3. 分子式
  4. 分子量
  5. 性状
  6. 確認試験
  7. 異物試験
  8. 純度試験
  9. 貯法

薬局方の多くは公定書です。
医薬品は自国のみではなく海外でも流通しているため、国際的な薬局方のハーモナイゼーション化が進んでいます。特に日米EUでは、試験法などを統一化しました。

日本薬局方

日本薬局方は、薬機法第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書です。初版は明治19年6月に公布され、2023年現在では第十八改正日本薬局方が公示されています。

作成:厚生労働省
収載品目:日本で繁用されている医薬品等。
(薬局方にまだ収載されていないが重要な医薬品→「日本薬局方外医薬品規格」収載)
厚生労働省から出版されている版は通常「官版」と呼ばれ、これは海外各国の当局機関や国内の公的箇所に配布されています。

*日本薬局方は、主に以下の2種類のものが利用されています。

  • 「第十八改正 日本薬局方」(以下 日局) 一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団編
    発行:じほう
    厚生労働省「日本薬局方ホームページ」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html
  • 「第十八改正日本薬局方解説書」(以下 日局解説)
     発行:廣川書店
     厚生労働省発行の「第十八改正 日本薬局方」の各条項目に解説を付け、より理解しやすくしたものです。
    構成、項目は全て薬局方に準じていますが、「第十八改正 日本薬局方」に記載されていない事項も補足解説しており、こちらの方が使い勝手は良く、一般的に普及しています。

ここでは、二つを区別するために「日本薬局方」を日局。「日本薬局方解説書」を日局解説とします。

日局

構成

  • 目次
  • まえがき:改正内容等の解説
  • 日本薬局方沿革略記 日本薬局方
  • 通則:定義解説
  • 生薬総則
  • 製剤総則(29項目):剤形の定義
  • 一般試験法(化学的試験法、物理的試験法、分光学的試験法、その他の物理的試験法、粉体物性測定法、生物学的試験法・生化学的試験法・微生物学的試験法、生薬試験法、製剤試験法、容器・包装材料試験法、標準品、標準液、試薬、試液、計量器・用器等 :試験法の解説
  • 医薬品各条:50音順(化学薬品等、生薬等)
  • 参照紫外可視吸収スペクトル
  • 参照赤外吸収スペクトル
  • 参考情報
  • 附録(原子量表など)
  • 索引(日本名索引、英名索引、ラテン名索引)

モノグラフ(医薬品各条)

  • 配列順序は、五十音順
  • 記載事項(*各医薬品で必要のない項目は、除いてある)
  • 日本名/英名/ラテン名(生薬関係品目についてのみ記載)/日本名別名/構造式/分子量及び分子式(組成式及び式量)/化学名/ケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS)登録番号/基原/成分の含有規定/表示規定/製法/製造要件/性状/確認試験/示性値/純度試験/意図的混入有害物質/乾燥減量、強熱減量又は水分/強熱残分、灰分又は酸不溶性灰分/製剤試験及/その他の特殊試験/定量法/貯法/有効期限/その他

日局解説

構成

  • 日局の構成を8編に大別し、5分冊から成る
  • 各冊子の見返しにある「はじめに」は、日局解説の見出しの見方が掲載されているのでまずは参照すること
  • 通則、生薬総則、製剤総則
  • 一般試験法
  • 医薬品各条化学医薬品
  • 医薬品各条生薬等
  • 参照紫外可視吸収スペクトル、参照赤外吸収スペクトル
  • 参考情報
  • 付録(医薬品各条と綿密な関連のある項目及び薬局方の活用に役立つ重要事項)
  • 索引

モノグラフ(医薬品各条)

  • 以下の項目が追加されています
  • 毒薬、劇薬、麻薬などの規制情報
  • 本質、名称、来歴、製法、構造、動態・代謝、薬効薬理、副作用、相互作用、適用、服薬指導、製剤、配合変化
第十五改正日本薬局方解説書
(株式会社廣川書店より転載許可済み)
「15日局解説書」の解説を別ウィンドウで表示します

USP/NF

USP:The United States Pharmacopeia [アメリカ薬局方](USP)第1版は1820年に発行され、1982年からNF:The National Formulary[国民医薬品集] との合本になりました。
有効性の証明された全ての医薬品(医療用医薬品、一般用医薬品、サプリメント等)の収載を目指しています。
USP-NF Online(要ログイン) 上記USPおよびNFのデータベースです。2018年版(USP41-NF36)以降を収録しており、最新版も閲覧できます。
発行:アメリカ公定書協会。年刊、追補(年2回)
USP HP (http://www.usp.org/)

構成 : 3分冊構成(Vol.1総論、Vol.2,3各条)

VOL.1

USP

  • Mission Statement and Preface
    (USP-NFの指命・歴史・作成ルールと手順・ポリシー・構成理事会や作成委員会の組織図)
  • People(理事会・委員会のメンバーリスト)
  • Articles of Incorporation  USP Governance
  • Admission(承認)
  • Notices(通知)
  • General Chapters(総論)
  • Reagents,Indicators and Solutions(試薬、指示薬、試液)
  • Reference Tables(参照表類)医薬品の包装及び貯法に関する基準
  • Dietary Supplements(栄養サプリメントのモノグラフ)
    ビタミン剤やハーブなど緩和な作用のもつもの。本文記載のものは医薬品各条を参照する。
    名称、成分、含量、包装・貯法、USP標準品、微生物限度試験、崩壊・溶解試験、重量偏差試験、カルシウム定量、コレカルシフェロールまたはエロゴカルシフェロールの定量など
    含有成分規定など。

NF (The National Formulary)原料基剤など製剤化のための医薬品を収載。

  • Admissions(前版追補からの組込み追加・Title変更・削除の承認事項)
  • Exipients(添加剤リスト) USPとNF共通
  • Notices NF General Notices and Requirements (通則)
    標準品、試験法、定量法その他の仕様へ適応するための「通則」
  • Monographs Official Monographs for NF (NF用公式モノグラフ) USPモノグラフに準拠
  • INDEX(索引) USPとNFの総合索引。まず追補から調べる。

VOL.2-3

USP
Monographs
各冊巻末にINDEX有り


モノグラフ(医薬品各条)

名称(USP名称、USAN名称)/構造式/分子式・分子量/化学式・[CAS No.]/化学的含有規定/Packaging and storage(貯法)/USP Reference standards(USP標準品)/Identification(確認試験)/pH/ Melting range(融点)/Loss on drying(乾燥減量)/residue on ignition(強熱残量)/Heavy metals(重金属)/Chromatographic purity(クロマトグラフによる純度試験)/Assay(定量法)
USP32 (Copyright 2008 The United States Pharmacopeial Convention. All rights reserved. Published with permission.)

USP32 (Copyright 2008 The United States Pharmacopeial Convention. All rights reserved. Published with permission.
「USP32」の解説を別ウィンドウで表示します

European Pharmacopoeia

作成:European Directorate for the Quality of Medicines & Health Care(欧州薬品品質局)、Council of Europe(欧州評議会)
不定期刊
薬局方に関する欧州内での国際調和を目指して、初版は1969年に出版。
1998年から日局、USPと共同のMonographも収載されるようになりました。2010年5月現在は第6版刊行。追加改正事項はsupplementで刊行されます。(国立国会図書館HPより)

構成

VOL.1

I. Preface
II. Introduction
III. European Pharmacopoeia Commission
IV. Contents of the Sixth Edition
General Chapters(総論編)

  1. General Notices(まえがきと通則)
    モノグラフ、略語・用語、単位の説明など
  2. Method of Analysis(分析法)
    日局の一般試験法に該当する各種分析装置・分析結果の計算法、確認試験、限度試験、定量試験、生物学的試験、生物学的定量法、生薬試験法、製材技術的手順など
  3. Materials for Containers and Containers(包装と容器類)
  4. Reagents(試薬とその説明)
  5. General Texts
    (参考情報、滅菌試験、生物学的試験・定量試験結果のの統計分析法、残留溶媒、アルコール測定換算表、インターフェロン定量法、EP中の放射性同位元素の物理的特性、薬局方の国際調和)
    General Monographs(総合モノグラフ)
    (アレルゲン製剤、エキス剤、抽出物、生薬製剤、ハーブティー、ヒト用動物免疫血清、動物用免疫血清、ヒト用モノクローナル抗体、酵母類、BSE等生物由来感染症に関連した危険性の考えられる製剤、放射性製剤、DNA組替え製剤、製剤原料、ヒト用ワクチン製剤、動物用ワクチン製剤、植物油)
    Monographs on Dosage Forms(剤形モノグラフ)
    Monographs on Vaccines for Human use(ヒト用ワクチンモノグラフ)
    Monographs on Vaccines for Veterinary use(動物用ワクチンモノグラフ)
    Monographs on Immunosera for Human use (ヒト用免疫血清モノグラフ)
    Monographs on Immunosera for Veterinary use (動物用免疫血清モノグラフ)
    Monographs on Radiopharmaceutical Preparations (放射性医薬製剤モノグラフ)
    Monographs on Sutures for Human use (ヒト用縫合剤モノグラフ)
    Monographs on Sutures for Veterinary use (動物用縫合剤モノグラフ)
    Monographs on Homoeopathic Preparations(類似療法薬剤モノグラフ)

VOL.2

Monographs(医薬品各条編)
Index(索引)
全巻を通じた総合索引。Supplement(追補)は年3回発行されるので必ず最新追補の索引から調べます。

モノグラフ(医薬品各条)

登録年/整理番号/収載版数/医薬品名(英語、又はフランス語、ラテン語)/Relative Atomic and Molecular Masses(構造式・分子式・分子量・CAS No.)/Difinition (定義;化学名、含量規定)/ Characters (性状・溶解性など)/Identification (確認試験)*ABC順にたくさんの確認試験がある場合、First Identification A E…、Second Identification D F…というようにランク分けされている。/Tests (試験法 ; 溶解性、性状、PH、施光度、乾燥減量などの限度試験等)/Assays (分析法)/Storage(貯法)