概論
生命倫理
「生命倫理」の語について
学問テーマ
医の倫理:歴史
参考:個人情報の取り扱いについて
参考文献
「生命倫理」の語について
「生命倫理」とは、英語「バイオエシックス(bioethics)」の訳語です。
語源は生命を意味するbio、倫理を意味するethicsの合成語で、意味は、生命についての倫理上の問題を学際的に多様な方法論を用いて取り扱う体系的研究と一般的には定義されています。
学問テーマ
生命倫理とは、「生命」について考える学問であり、取り扱われる「生死」に関わる問題は幅広くなっています。大学薬学部では、現実の医療現場を念頭におき、患者の立場ならびに自分自身の問題として考える科目です。
生命倫理の問題として取り上げられる具体的なテーマとして次のようなものがあります。
がん告知、ターミナルケア、インフォームドコンセント、ホスピスケア、緩和医療、延命治療、安楽死(尊厳死)、「死ぬ権利」、臓器移植、出産、不妊治療、出生前診断、遺伝子診断等。
生命倫理の主なテーマには、大きく次の二つにまとめる見方もあります。
- 個人の自己決定権の保障
例:インフォームドコンセント、セカンドオピニオン
- 生命に関する公共的選択の倫理
例:生殖医療、遺伝学、環境
生命倫理の歴史
生命倫理ということばは、1960年代後半から生命科学や医療をめぐる倫理問題の議論に用いられるようになりアメリカを中心に展開され、日本では、1980年代半ばから体外受精が行われるなどしてマスコミで取り上げられるようになりました。
近年の動きとしては、2005年に国連教育科学文化機関(UNESCO)の総会で「生命倫理と人権に関する世界宣言」が採択されました。
参考:医の倫理
- ヒポクラテスの誓い:医療倫理でもっとも古いとされる古代ギリシアの規範
- ジュネーブ宣言:1948年世界医師会World Medical Associationが医師としての行動規範を定めた
- 医学の倫理に関する国際規定:1949年ロンドンで定められた規定で生命倫理学成立の先駆となった
- ヘルシンキ宣言
正式には「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」で、ナチスによるユダヤ人に対する非人道的な人体実験の反省からまとめられた「ニュルンベルグ綱領」を基盤として、1964年にフィンランドのヘルシンキで開かれた世界医師会(WMA:World Medical Association)総会で採択された倫理規範
参考:個人情報の取り扱い
- 個人情報保護法のガイドラインのうち、厚生労働省が策定したものの一つ
参考文献
- 生命倫理事典 / 近藤均 [ほか] 編集委員, 太陽出版, 2002.12
- 生命倫理百科事典 / Stephen G. Post [編集] ; 生命倫理百科事典翻訳刊行委員会編 ; 日本生命倫理学会協力, 丸善, 2007.1
- 生命倫理学を学ぶ人のために / 加藤尚武, 加茂直樹編, 世界思想社, 1998.1
- 生命倫理のキーワード / 曽我英彦, 棚橋實, 長島隆編, 理想社, 1999.6
- 基礎から学ぶ生命倫理学 / 村上喜良著, 勁草書房, 2008.4